長きに亘って日本の首都だった京都。円熟した文化の中では、よく聞く「京ことば」でも実は「御所ことば」や「職人ことば」「花街ことば」などに細分化されています。そこで今回はウェブアンケートにて総勢9,944名に調査した<京都弁!意味が難しい京都府の方言ランキングPart2>を発表します。
「じぶんどき」ってどんな時?「あがる」はどの方向に進むこと?「あしあらい」に参加するってどういうこと?気になる方は、さっそくランキングをチェック!
TOP10
- 1位えんばんと(あいにく、折り悪しく) (1,240票)
- 2位おけんたい(当然、当たり前) (846票)
- 3位こーとな(地味で上品な様子) (827票)
- 4位せんぐり(何度も) (773票)
- 5位あも(餅) (731票)
- 6位あしあらい(慰労会、打ち上げ) (706票)
- 7位じぶんどき(食事時) (704票)
- 8位てんご(悪ふざけ、いたずら) (700票)
- 9位おはようおかえりやす(いってらっしゃい) (657票)
- 10位あがる・さがる(北へ行く・南へ行く) (564票)
ランキングの集計方法
調査方法:株式会社CMサイトがインターネットリサーチした<京都弁!意味が難しい京都府の方言ランキングPart2>のアンケート結果を集計。
※有効回答者数:全年代の男女(性別回答しないを含む)9,944名/調査日:2024年8月6日
第1位:えんばんと(あいにく、折り悪しく)(1,240票)
- 初めて聞く言葉
- 京都の友人との会話で聞いた記憶があるが、全く意味が分からなかった
- UFO?円盤?
- この頃あまり聞かなくなったわ
空飛ぶ円盤ではありません!1位は「えんばんと」(あいにく、折り悪しく)!
「えんばんと」と聞くと、「円盤と」と言っているのかと思ってしまいますね。えんばと、えんばな、と言う他地域もあるようで、「あいにく」や「折り悪しく」という意味になります。「その日はえんばんと留守で…」や、「今週はえんばんと雨模様で…」などの使い方をします。年代によっては使われない言葉になりつつあるようで、後世へ残したい方言ですね。
第2位:おけんたい(当然、当たり前)(846票)
- 隣県ですが、知らん言葉です
- 字面を見ても何の意味かわからない
- ほんまおけんたいに、ようやらはりますえ…(※編集部注:『ホントに、当たり前のようによくやりますね』という意味)
- 上品すぎてよくわかりまへん
これを使いこなせたら立派な京都人?! 2位は「おけんたい」(当然、当たり前)!
「おけんたい」は何を意味する方言だと思いますか?「たい」が語尾の、九州の方言っぽく感じる人もいるかもしれませんね。京都府の方言では「当然」や「当たり前」という意味を表します。大阪府などでも使われている方言ですが、「お」を付けずに「けんたい」とだけ言うこともあるようです。本音と建前を上手く使い分ける京都の方が使うことで、「おけんたい」という言葉の威力も増すのかも!?
第3位:こーとな(地味で上品な様子)(827票)
- 言葉の響きが、やわらかい
- 地域の方言は難しい
- 四文字でこんなに長い意味なんだと思いました
- 京都市民ですけど、聞いたことがありません
京都ならではのみやびな言葉!3位は「こーとな」(地味で上品な様子)!
「地味で上品な様子」をあらわす京都府の方言「こーとな」。漢字で書くと「公道な」になります。こういった方言があること自体、京都らしくて素敵ですね。ちなみに京都の方言と聞くと真っ先に挙げられる「はんなり」は、「はなやかで上品な様子」を表す方言。成人式でよく着られている振袖などは「はんなりした着物」、結婚式で新郎新婦の母親が着る黒留袖などは「こーとな着物」と覚えてくださいね。
第4位:せんぐり(何度も)(773票)
4位は「せんぐり」(何度も)!
- へええええ
- 千回繰り返すという意味かな
- 初めて聞いたときに、センブリ?と聞き返したことを思い出しました
「せんぐり」は「でんぐりがえり」もしくは、「栗」や「どんぐり」の新種…ではなく、京都府の方言で「何度も」や「次から次に」という意味です。「先繰り」と漢字で書くと意味が想像しやすいかもしれませんね。他にも大阪府や兵庫県、徳島県などでも使われています。「せんぐりせんぐり」と繰り返して使うこともあり、その時は「何度も何度も」や「繰り返し繰り返し」という意味になります!
第5位:あも(餅)(731票)
5位は「あも」(餅)!
- 京都弁むずかしいです(泣)
- 想像つかない
- かんてきで『あも』やいてんか、と言われたことがある。意味わからなかった…(※編集部注:関西弁で『かんてき』は『七輪』。『七輪でお餅を焼いてくれる?』という意味j)
「あも」は方言で「餅」のこと。京都では「あもさん」と、「さん」をつけて言うこともあるので、人の名前かと思う方もいるかもしれませんね。ちなみに元々は、宮中などに仕える身分の高い女官、いわゆる「女房」が使っていた「女房ことば」だということです。一説には、餅を小豆餡で包んだ「あんもち」を略した言葉だともいわれています!
第6位:あしあらい(慰労会、打ち上げ)(706票)
6位は「あしあらい」(慰労会、打ち上げ)!
- 語原が全く想像つきません
- 足を洗うのかと思ってしまう
- 変な意味にとりそう
そもそも「足を洗う」には、そのままズバリ「フットをウォッシュする」意味と、良くないことから手を引くという慣用句、2種類がありますね。しかし、京都の方言で「あしあらい」と言えば、第3の意味「慰労会」や「打ち上げ」を指すんです。言葉の由来としては、昔の足元は藁草履で汚れやすく部屋に上がる際に足を洗っていたので、仕事を終えた人をねぎらう会を「あしあらい」と言ったのではないかという説があります。
第7位:じぶんどき(食事時)(704票)
7位は「じぶんどき」(食事時)!
- 京都弁ってテレビなんかでよく聞くと思いきや、こんな方言もあるのね
- じぶんて自分なのか?
- 自分という単語があるので理解するまで時間がかかりそう
- 京都はよく行くけど日常では聞かないですね
「じぶんどき」と聞いて、どんな時間か分かりますか?「自分時」という漢字が思い浮かび、自分の時間=プライベートタイムかと思ってしまいますね。京都府の方言では「食事時」を意味します。これは、そもそも漢字では「時分時」と書き、時分という言葉に「食事の頃あい」という意味があるんです。例えば誰かの家にお邪魔していてうっかり夕刻になったら、「じぶんどきやから失礼いたします」などの使い方をします!
第8位:てんご(悪ふざけ、いたずら)(700票)
8位は「てんご」(悪ふざけ、いたずら)!
- 難しいです
- 聞いたことがない…!
- ちょっと可愛い
- 今でもよく使いますよ
「てんご」は京都府の方言で「悪ふざけ」や「いたずら」を意味します。「そんないたずらしないで」と言いたい時は、京都府では「そないなてんごしんといて」になります。ちなみに大阪府や奈良県、和歌山県などの関西南部でも「てんご」を使いますが、同じことを言おうとしても語尾が「しやんといて」に変化したりと、一口に関西弁といってもバラエティ豊かなんですよ!
第9位:おはようおかえりやす(いってらっしゃい)(657票)
9位は「おはようおかえりやす」(いってらっしゃい)!
- 2つの挨拶がくっついているかのよう
- 初めて聞いた
- これを聞いていってきますとは返せないわ~
- 言われてみたい!
方言を知らずに「おはようおかえりやす」と言われたら、「おはよう」と「おかえりなさい」どっちなの!?…と返事に困ってしまいますね。実は京都府の方言では「いってらっしゃい」を意味します。「仕事が早く終わり、無事に帰ってこれますように」というあたたかい気持ちのこもった言葉です。笑顔で「いってきます!」と返してくださいね。
第10位:あがる・さがる(北へ行く・南へ行く)(564票)
10位は「あがる」・「さがる」(北へ行く・南へ行く)!
- 京都の言葉は難しくてほとんど判らないけど、『あがる・さがる』は自分の居る場所で東西南北がわかっていないと何のこっちゃとなりますね
- 方角の上下を指していると思うが、一瞬何の上げ下げか分からなくなりそう
- 上がるが北へ、かみしめると、なんとなくわかる
- あがる・さがるはわかりにくいですね
なぜ「あがる」「さがる」が「北へ行く」「南へ行く」という意味になるのでしょうか。その理由は京都の街の作りにありました。まず1つ目は、京都市内を走る鴨川と桂川が北から南に流れていることからもわかるように、北が高くて南が低いという標高差。2つ目は、京都の中心部では道が東西南北へまっすぐ伸びる、碁盤の目状だということ。そのため、高い方を目指して「あがる」ことがそのまま「北へ行く」ことになるんですよ。
京都弁!意味が難しい京都府の方言ランキングPart2ベスト10
以上、全年代の男女(性別回答しないを含む)9,944名が選んだ<京都弁!意味が難しい京都府の方言ランキングPart2>でした。
有効回答者数:全年代の男女(性別回答しないを含む)9,944名
調査日:2024年8月6日